ドキュメンタリー映画『Girl Model』で耳にした「aesthetic」の意味とは?

劇場公開時から気になっていたものの、観る機会がなかったドキュメンタリー映画『Girl Model』が PBS Video で4月23日まで観られるようになっていたので、観てみました。日本で活躍することを夢見る外国人モデルの裏事情を描く作品です。

Russian Model


映画は、シベリアで行われるティーン・モデルのオーディションの場面から始まります。みんな細くて、手足が長くて、抜群のモデル体型。でも、どこか異様な雰囲気が漂っています。

彼女たちを一人一人チェックして吟味するのは、アメリカ人スカウトのアシュリー(Ashley)さん。彼女がモデルを選ぶ時の基準について語る場面で、”It’s hard sometimes to bypass my own personal aesthetic preferences.” と言ったのが気になりました(4:18)。

ポイント

“aesthetic”〔発音〕は「美的な」という意味です。私は留学時代の単語テストで覚えた記憶があります。

aesthetic | Macmillan Dictionary

  1. relating to beauty or to the study of the principles of beauty, especially in art
  2. [FORMAL] nice to look at

(特にアートなどにおける美の本質の研究や美に関する、という意味なんですね。)

アシュリーさんは「自分自身の美的な好みを無視するのが難しい時もあります」と言っていたのでした。

アシュリーさんが言うには、日本のファッション業界が求める外国人モデルの条件はかなり特定されていて、背の高さなどもある程度決まっていて、かわいさや若さが重視されるそう。特に「若い」というのはすごく大事みたいです。

補足

というわけでこの映画、観た後にとてつもなく暗い気分になってしまいました。

映画にはナディアというシベリア出身のモデル希望の女の子が登場しますが、彼女は13歳。アシュリーさんに気に入られて日本へ行き、そこで15歳と偽るように言われます。せっかく大勢の女の子の中から選ばれて日本に行ったにも関わらず、毎日キャスティングの連続で仕事はなく、たまるのはお金じゃなく不安ばかり。

ナディアさんは言葉の全く通じない日本で不安定な日々を過ごし、どんどんホームシックになっていきます。スカウトをするアシュリーさんも18歳の時に外国人モデルとして日本にいたことがあり、その時に心を病んでいた様子も映し出されていました。

日本の女性誌は、確かに外国人モデルがよく載っています。かなり若く見える子もいます。でも、私は彼女たちがどんな風にして日本に来ているのか、これまで深く考えたことがありませんでした。

もはや使い捨てです。

ただ、私が違和感を覚えたのは、日本のエージェンシー一社の様子を通して日本のモデル市場全体を描いているように見えたこと。もちろんこういうひどい扱いをするところもあって、それはやはり問題視すべきことだとは思いますが、日本のモデル業界全体がそうだとは思えませんでした。

アシュリーさんも映画の中で語っていますが、おそらく日本のクライアントも、エージェンシーが連れてくる未経験のモデルの子たちが、どこからどういう事情でやってきているのかほとんど知らないんじゃないかと思います。

でも、少なくともアシュリーさんや映画に登場していたエージェンシーは知っているはず。

それでもアシュリーさんはオーディションをやめません。次から次へと新しい子を連れてきます。私は前半までナディアさんに興味を持って映画を観ていましたが、途中からこのアシュリーさんが奇妙に見えて仕方なくなってきました。美しいけれどもつかみどころがなくて、何を考えているのか全然わかりません。

ついでに映画に登場していた日本のエージェンシーがどんな会社かも調べてみましたが、その会社は現在外国人モデルの扱いを休止していました。

冒頭では「日本で活躍することを夢見る外国人モデルの裏事情を描く作品」と紹介していましたが、「日本で活躍することを夢見る外国人モデルの斡旋業者を描く作品」の方が正しいかもしれません。

追記

(5.30.2013)
この映画に興味を持たれたら、ぜひ @satomitw さんのブログの記事も合わせてチェックしてみてください。とっても詳しく書かれています!

※アイキャッチ画像:By dmsumon [CC-BY-2.0], via Flickr