ウディ・アレン監督のインタビュー記事で目にした「dwell on」の意味とは?

先日、自身48作目となる映画『Blue Jasmine』が全米の一部で公開されたウディ・アレン(Woody Allen)監督。



私のいるところは今日公開で、私はまだ観ていないのですが、御年77歳で毎年のように新作を送りだしてくるウディ・アレン監督が人生の教訓を語っていた記事があったので、読んでみました。

すると、自分の作品に対する批評には目を通さないということについて語ったくだりに

Thanks to my mother, I haven’t wasted any time dwelling on whether I’m brilliant or a fool.

via Woody Allen Interview – Woody Allen Blue Jasmine Quotes – Esquire

と書いてありました。

ポイント

“dwell” は「住む」という意味ですが、”dwell on” になると、「くよくよする」という意味になります。

dwell on | Macmillan Dictionary

dwell on/upon something to spend a lot of time thinking or talking about something unpleasant

(不快なことに長い時間をかけてくよくよ考えたり、話したりする、という意味なんですね〜)

ウディ・アレン監督は、「母親のおかげで、私は自分が賢いのかバカなのか、くよくよ考えることに無駄な時間を費やすことはなくなりました」と言っていたのでした。

補足

上記の文章は、以下の段落に書かれていました。

Back when I started, when I opened Take the Money and Run, the guys at United Artists accumulated the nation’s criticisms into a pile this big and I read them all. Texas, Oklahoma, California, New England… That’s when I realized that it’s ridiculous. I mean, the guy in Tulsa thinks the picture’s a masterpiece, and the guy in Vermont thinks it’s the dumbest thing he’s ever seen. Each guy writes intelligently. The whole thing was so pointless. So I abandoned ever, ever reading any criticisms again. Thanks to my mother, I haven’t wasted any time dwelling on whether I’m brilliant or a fool. It’s completely unprofitable to think about it.

(私がまだ駆け出しだった頃、『泥棒野郎』〔1969 / ウディの初監督作〕を出した頃ですが、〔制作会社の〕『ユナイテッド・アーティスツ』の連中が全国から批評を集めてきてこんな大きな一まとめにして、私はそれを全部読んだんですよ。テキサス、オクラホマ、カリフォルニア、ニューイングランド・・それで私はばかばかしいと気づきました。というのも、タルサの人は傑作だと思っていて、バーモントの人はそれまで観た中で最低だと思っている。しかもみんな理論立てて書いているわけです。全くもって無意味でした。私は、どんな批評も、二度と読むのはやめました。母親のおかげで、私は自分が賢いのかバカなのか、くよくよ考えることに無駄な時間を費やすことはなくなりましたよ。そういうことを考えるのは、すべて非生産的です。)

via Woody Allen Interview – Woody Allen Blue Jasmine Quotes – Esquire

他にも、私の印象に残った箇所を抜き出してみました。

What people who don’t write don’t understand is that they think you make up the line consciously — but you don’t. It proceeds from your unconscious. So it’s the same surprise to you when it emerges as it is to the audience when the comic says it. I don’t think of the joke and then say it. I say it and then realize what I’ve said. And I laugh at it, because I’m hearing it for the first time myself.

(書かない人がわかっていないと思うのは、みんなこちらが意識的にセリフを考えていると思っていることです。でもそうではない。無意識の中から生まれてくるものなのです。何か面白いことが浮かんだ時、それは聴衆と同じく、本人にとっても驚きなのです。私はジョークを考えて言っているのではありません。言ってから、自分の言ったことを自覚します。そして笑う。私自身、その時初めてそれを耳にするのです。

via Woody Allen Interview – Woody Allen Blue Jasmine Quotes – Esquire

It’s just an accident that we happen to be on earth, enjoying our silly little moments, distracting ourselves as often as possible so we don’t have to really face up to the fact that, you know, we’re just temporary people with a very short time in a universe that will eventually be completely gone. And everything that you value, whether it’s Shakespeare, Beethoven, da Vinci, or whatever, will be gone. The earth will be gone. The sun will be gone. There’ll be nothing. The best you can do to get through life is distraction. Love works as a distraction. And work works as a distraction. You can distract yourself a billion different ways. But the key is to distract yourself.

(私たちが地球上に存在するのは、単なる偶然の出来事です。くだらない一時を楽しみ、自分たちの気を散らせる限り散らすのも、自分たちが宇宙に一時的に存在する人間であって、いつかはいなくなるという事実を直視しなくてすむようにしているのです。全ての価値あるものは、たとえシェークスピアであれ、ベートーベンであれ、ダ・ヴィンチであれ何であれ、いなくなります。地球もやがてなくなります。太陽もやがて消え去ります。何もかもなくなってしまいます。人生を生き抜く一番の方法は、気晴らしです。愛も気晴らし。仕事も気晴らし。気晴らしの仕方は無限大です。でも、大事なことは、気晴らしをする、ということなのです。)

via Woody Allen Interview – Woody Allen Blue Jasmine Quotes – Esquire

元記事には、これ以外にも「ウディ・アレン語録」がたくさん収められているので、ぜひチェックしてみてください:

ちなみに、ウディ・アレン監督は、アカデミー賞などの授賞式に出席しないことでも有名です。
Woody Allen - Diane Keaton - Manhattan

BLOCK: So why does Woody Allen avoid the biggest night in Hollywood? Here’s one reason, according to biographer Eric Lax.

(司会:では、ウディ・アレンはどうしてハリウッド最大の夜を避けるのでしょう?伝記作家のエリック・ラックスさんは、一つの理由を挙げています。)

LAX: It’s really almost impossible, as he puts it, to judge art, that it’s so subjective, you can’t really say, well, this performance is better than that or that writing is better than this and that, if you get caught in that trap of relying on other people, however great they are, to tell you whether you’re any good, you’re either going to consciously or subconsciously start playing to that group.

(ラックス:彼が言うには、芸術を評価するのはほぼ不可能で、非常に主観的だということです。こちらの演技の方があちらより良いとか、あの脚本の方がこれより優れているとか、他人に評価してもらうことに頼ってしまうと、どんなに優れた人たちであっても、意識的にせよ無意識的にせよ彼らにおもねいてしまう。)

via Why Woody Allen Is Always MIA At Oscars : NPR

ただし、ウディ・アレンはたった一度だけ、911 の起こった翌年の2002年にアカデミー賞の舞台に立っています。この年彼の作品はどのカテゴリにもノミネートされていませんでしたが、ニューヨークを最も愛する映画監督の一人として、ニューヨークにまつわる映画のモンタージュを紹介していました。

ここでももちろん、ウディ節が炸裂しています。