「復活」ではない “comeback” の意味とは?

この度、『ツカウエイゴ』初の寄稿記事をいただきました。寄稿してくださったのは、これまでブログでも何度も紹介している SIJP(Seattle IT Japanese Professionals) の会長。どうぞお楽しみください!

 


 

今から20年以上前、日本にいたとき、英語の勉強方法として、NHK の海外ドラマをみてシャドウイングをやるというのがありました。

40代以上の人はわかっていただけると思いますが、YouTube のなかった時代だったので、それが一番安い方法でした。ドラマの副音声を録音して、ウォークマン(?)でしょっちゅう聞いていました。

見ていたドラマの変遷は以下の通り。

1. 素晴らしき日々(Wonder Years)1988-1993(最終回は涙ものでした)
2. フルハウス(Full House)1987-1995(僕の娘の英語名に Michelle とつけたのもこのドラマのせいです)
3. フレンズ(Friends)1994-2004(今思えば何で夢中にみていたかわかりません)
4. となりのサインフェルド(Seinfeld)1989-1998(この時はもうすでに日本を飛び出していました)

となりのサインフェルド』は僕の一番好きなシチュエーションコメディ(シットコム)です。基本的にはコメディアンのジェリー・サインフェルドと元彼女のイレーン、ジェリーの親友ジョージ、ジェリーのアパートの隣人クレーマーが織り成す ”Show about nothing” がテーマ。そこではいろんなアメリカの文化が学べます。僕は DVD Box をもちろんもっていますが、ストリーミングサービスの Hulu でも最近見れるようになりました。

脚本などは、『Curb Your Enthusiasm』のラリー・デヴィッドがシーズン7までジェリー・サインフェルドと共同で書いていました。ただ僕が好きなのは第8、第9シーズンです。

今回紹介するのはその中でも僕のオススメのエピソード “Comeback”。エピソードの中で “comeback” という単語が何度も出てきます。

 

“ポイント”/

 

“comeback” はこの場合、「うまい受け答え」という意味で使われています。

1. a return to a former good position or condition
2. a return to being popular or fashionable
3. a new effort to win or succeed after being close to defeat or failure

(日本では1、2番の意味が一番つかわれていますが〔カムバック賞とか〕、ここで使われてるのは3番の意味です。つまり、言い返しとかツッコミに当たると思います。)

Comeback – Definition for English-Language Learners from Merriam-Webster’s Learner’s Dictionary

ジョージの “comeback” を見ていきましょう。

動画の冒頭、ミーティングで口いっぱいエビをほうばったジョージに対して、同僚が「海から電話がかかってきてエビが売りきれだとさ(The ocean called. They’re running outta shrimp.)」(0:17)といいました。

立腹したジョージは仲間にその話を打ち明け、ジェリーやイレーンたちがそれぞれ “comeback” を考えます。

イレーンの考えた comeback:

Your cranium called. It’s got some space to rent.(2:00)

「頭蓋骨が電話しました。”貸せるスペースがありますよ”」(つまりお前はアホだといいたい)

ジェリー・サインフェルドが考えた comeback:

Hey, Reilly. The zoo called. You’re due back by six.(2:09)

「動物園が電話しました。”6時までに帰ってこい”」(つまりお前は動物園にいるんんだというジョーク)

そしてジェリーの隣人クレーマーの考えた comeback:

I had sex with your wife.(2:15)

「お前の奥さんと寝たよ」

一方、ジョージが考えた comeback はこちらです。

Well, the jerk store called. They’re running outta you.(0:56)

「”jerk store” から電話がかかっていて、あなたが売り切れたみたいです」

後半、ジョージはなんとかその “渾身の comeback” を同僚に言うチャンスをつかむのですが、実行した途端すかさず同僚がこう言いました。

What’s the difference? You’re their all-time best seller!(5:03)

「関係ないよ、君は jerk store の一番の売れ筋だよ」(つまり一番の jerk だよといいたい)

1. a sudden quick movement
2. [informal] someone, especially a man, who is stupid or who does things that annoy or hurt other people

jerk | Longman Dictionary

ジョージはクレーマー作の “I had sex with your wife.” を繰り出しますが、別の同僚に「彼の奥さんは昏睡状態だ(His wife is in a coma.)」(5:28)と言われます(これはずいぶんブラックな comeback ですね)。

“X called Y”(X は人間以外のもの)というパターンは『となりのサインフェルド』ファンにはなじみのジョークです。

となりのサインフェルド』が面白いのは、20分強の1つのエピソードの間にいくつかの関係のなさそうなサブエピソードが最後でつながるという感じです。

英語でうまく切り返す

これは個人的な意見ですが、生活の上で言い返しというのは大変重要だと思います。例えば、差別の言葉とかを言われたときにそれに対して、怒るのではなくそれを上回るウィットの効いたジョークで切り返すというのを僕は心がけています。

好評であれば『Seinfeld』のほかのエピソードも紹介したいと思います。

 


 

私自身、ジェガーママのジョークがけっこうきついと感じることがあるので、アメリカ式にいつか良い “comeback” を切り返してみたいです。私もジェガーママにすぐ切り返されそうですが・・・!

会長の他のエピソードの解説もぜひ読みたいです。続編希望のリクエストがあれば、ぜひお寄せください!

私は Hulu で『となりのサインフェルド』を観るのがさらに楽しみになってきました。この場をお借りして改めてお礼申し上げます!

※寄稿にご興味があれば、お気軽にメールTwitterFacebook でコメントください。ぜひブログでご紹介させていただきたいと思います。質問なども募集中です!

 

追記

 

その後、寄稿第2弾もいただきました!